なぜ名誉棄損罪なのか?女性アスリート盗撮動画を販売した事件について

なぜ名誉棄損罪なのか?女性アスリート盗撮動画を販売した事件について

女性アスリート盗撮動画を公開して逮捕

先日、女性アスリートの盗撮動画を公開したとして、男性が名誉棄損罪で逮捕されたと報じられました。
報道によれば、男性は、赤外線カメラを使って選手の試合中の様子などを動画撮影し、それをインターネットのアダルトサイトで公開し、売っていたとのこと。
そのサイトでは、動画に、「盗撮風動画です」などのコメントもつけており、選手の顔や下着が透けている様子なども確認できる状態だったと報じられています。
男性は、逮捕の原因となった事実を認めているとも報じられていますが、事実関係は今後の捜査で明らかになること。
この件自体への具体的なコメントは控えますが、盗撮の対象となった被害者のかたの思いは想像を絶するものがありますよね。
赤外線の透過機能を使って盗撮されていた上に、それが性的な目で見られるサイトに公開され、販売されていたなんて。
素人ながら、アスリートのかたにとって、きっと、体の動きと同じようにメンタルがとても重要で、試合に合わせて神経を研ぎ澄ましていき、試合の瞬間に最高のパフォーマンスができるよう精神を集中させていくのだと想像します。
そんな中、試合前の準備運動中、試合中の自分の体が、その場に集まっている何者かの赤外線カメラで盗撮されており、その後、動画がアダルトサイトで性的な目にさらされるかもしれないという不安が生まれてしまったら、その不安と戦わなければならないのかもしれません。
こんな卑劣な行為がなければ、自分は100%の集中力で臨めるのに、という怒りや悔しさとも戦わなければならないのかもしれません。
このような撮影、公開、販売をしたり、閲覧、購入したりする人の性的好奇心や金を稼ぎたいという欲が、血のにじむような努力をしてきたアスリートのかたに、どれほどのダメージを与えているかといいうことは容易に想像できます。

この卑劣な行為が名誉棄損罪にあたると評価されて逮捕されたという点について、ちょっとピンとこないな、と思ったかたもいるかもしれません。
名誉棄損罪は、公然と事実を適示(てきじ)して人の社会的評価を下げるような行為をしたと認められるときに成立します。
「事実を適示」というのは、人に事実として伝えること。
一般的に、アスリートを赤外線カメラで盗撮して、下着などが透けた動画を公開、販売する行為によって、どんな事実を伝え、また、それによって被害者の社会的評価をどう下げたといえるのでしょうか?
この点、過去の裁判で、入浴中の女性の裸の映像を編集して販売したことにより名誉棄損罪などにより起訴された裁判の判決で、裁判官は、そのような事案における「事実の適示」とは、被害女性の裸の姿態が録画されているという事実を人に知らせたことを指すと説明しました。
撮影されたのがだれかということが見てわかれば、その人は周囲の人たちから好奇の目で見られたり、嫌悪感を抱かれるなどの否定的な評価を生じるおそれが否定できないとしているのです。
さらには、実際には被害者は盗撮された上、しらぬまにその映像を公開されていたのに、その画像が鮮明であることなどから、事情を知らない人が見ると、被害者が不特定多数の人に販売されるビデオテープに録画されることを承知の上で裸体をさらしているのではないかという印象を与えかねないのだから、その意味でも被害者の社会的評価を下げるような事実の適示だと指摘されています。
この裁判例を参考に考えてみると、アスリートを赤外線カメラで盗撮して、下着などが透けた動画を公開、販売する行為においては、アスリートの下着などが透けた映像が録画されているという事実を人に知らせたことが事実の適示にあたり、そして、これにより、被害者が性的好奇の目で見られたり、嫌悪感を抱かれたり、または、もしかすると被害者は撮影されていることに了解しているのではないかと思われてしまったりすることが社会的評価の低下にあたるといえそうです。
特に、「盗撮風動画」とコメントしてあったとなると、その言葉を、文字通り理解すれば、「盗撮のように見えるけれど、盗撮風なだけで、実際は盗撮ではないですよ。本人の承諾があるんですよ」ということになる。
なおさら、被害者の社会的評価にかかわるともいえますよね。

今後の捜査に注目していきます。

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