京都アニメーション放火殺人事件 被疑者逮捕なぜ今?

京都アニメーション放火殺人事件 被疑者逮捕なぜ今?

事件から10か月を経て今なぜ逮捕されたのか

昨年7月、アニメ制作会社が放火され、これにより36人ものかたが殺害されたという大変いたましい事件が起きました。
そして、この事件の被疑者男性は、事件の際、全身にやけどを負い、病院に入院していましたが、5月27日、逮捕されました。

この報道を見て、昨年7月に起きた事件について約10か月を経て今なぜ逮捕されたのかなと思いませんでしたか?

たしかに、ご遺族やこの会社に関係する皆さまのお気持ちを考えたとき、この間、被疑者の逮捕がなされず、真相を明らかにすることができないことがなんとももどかしく苦しかったと思うのです。
でも、被疑者男性は全身にやけどを負い、報道によればその間皮膚移植手術をしたり、またやけどに伴う高熱がたびたび出たという状況だったとのこと。
そのような状況では、そもそも、身柄拘束にたえない状態だったといえるでしょう。

また、今回の事件は、言うまでもなく多くのかたが命を落とされた重大事件で、責任能力が争点になると見込まれるとはいえ、それにしても検察側は極刑の求刑を視野に入れて捜査に臨むはずです。
捜査機関としては、特に、捜査の過程に万が一にも落ち度があったことが理由で適切な刑事責任を問えなくなる事態はあってはならないと考えるでしょう。
ですので、捜査には慎重に慎重を期すことになると思うのです。

まだまだ被疑者の身体回復が十分とはいえず、病院におけるような十分な医療体制が整っていないにもかかわらず早期に逮捕に踏み切り、取り調べを進めていけば、後々、そこで聴取された被疑者の供述について、任意になされたものではないと評価され、証拠として採用できないという結果になりかねません。
そのようなリスクを考えると、被疑者の身体の回復状況を慎重に見守らざるを得なかったのだと思います。

さらに、今年になり、新型コロナウイルスの感染が拡大したことも影響したと報じられていますね。
そのように考えると、もう少し逮捕を待った方がよかったのではないかとの見方もありそうです。

警察が説明する「記憶の減退を懸念」とは

逮捕時、自力で歩行することができず、ストレッチャーに乗せられて警察署に入る被疑者の写真が報じられましたよね。

まだ十分に回復していないといえる状態で逮捕に踏み切らざるを得なかったことについて、報道では、警察官が「記憶の減退を懸念した」旨述べていることが報じられていました。
これはどういう意味だと思いますか?

今後捜査を進めていく中で、被疑者の供述は非常に重要な意味を持ちます。
そもそも本件犯行は被疑者がしたことなのか、もし被疑者がしたことなのであれば、なぜこのような行動に出たのか、いつごろからその計画を立てたのか、犯行時、具体的にどのような行動をとったのかなど詳細に取り調べが行われていきます。

この中で、そもそも自分がしたことなのか否か、そうであれば、なぜこのようなことをしようと考えたのかなどということは、時の経過とともに記憶が薄れるということもあまり考えられません。
でも、たとえば、そのように、犯行を決意するきっかけとなった出来事がなんだったか、具体的にいつ、どのように思い立ったのか、その後、犯行に向けてどのような行動をとったのか、当日はどのような行動をとったのか、などについては時の経過とともに記憶が薄れていくこともあり得ます。

目撃者がいるとか、防犯カメラに写っているとか、客観的に明らかにすることができる事項ならともかく、そうでない被疑者しか知りえないこともたくさんあります。
そしてそのようなひとつひとつの供述は、被疑者の犯行であることを裏付ける証拠としても、責任能力の判断要素としても、量刑に影響する事実を裏付ける証拠としても、非常に重要な意味を持ってくるのです。
この意味で、被疑者の記憶に基づく供述は、真相解明に不可欠だといえます。

警察が説明する「記憶の減退を懸念」とは、これ以上逮捕を遅らせることで、被疑者の記憶が減退することにより、得られたはずの供述が得られず真相に近づくことができなくなることをおそれたということなのでしょう。

本件では、責任能力も争点になると見込まれます。
そうなると、今後、起訴前に精神鑑定が行われる可能性も高いといえます。
今後の捜査がどのように進むか、注目していきます。

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