リーガルエッセイ

公開 2020.05.15 更新 2021.08.13

#リモート〇〇 急激なオンライン化もセキュリティは大丈夫?

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出自粛が求められる中、急激なオンライン化が進んでいるのを感じませんか?

最近、新聞紙上には、常に、「リモート〇〇」「オンライン〇〇」などの文字が並んでいます。
私も、この数か月の間に、何度も、オンラインで打ち合わせをしたり、オンラインセミナーを受講したりし、このオンライン化の波を肌で感じています。

急激なオンライン化 その裏で

今朝新聞を読んでいただけでも、文化庁が高知県で夏に開催予定の全国高校総合文化祭をネット上で開くこと、裁判所と弁護士事務所とインターネットでつないで民事訴訟の手続きを進めるウェブ会議の実施件数が2月と3月を比較すると2.6倍に増えたこと、大学スポーツ協会が学生へのオンライン学習支援を強化すること、東京都は、テレワークを導入した都内企業が3月時点では24パーセントだったのが4月時点で63パーセントになり1か月で2.6倍になったことなどが報じられていました。

また、オンライン化が進んでいることを感じる記事が多く掲載されている同じ紙面でサイバー犯罪に関する記事も見つけました。

日本経済新聞社グループの従業員にコンピューターウイルスが仕込まれた電子メールが送りつけられたことによりパソコン1台がウイルスに感染し、これにより社員など1万2514人分の個人情報が流出したというのです。

また、ある自治体のホームページとそっくりの偽サイトが見つかったというニュースもありました。
まだ詳細は分かっていないとのことですが、自治体は、この偽サイトが新型コロナウイルスの特別給付金の手続に乗じて個人情報を抜き取ろうとしている可能性があるためアクセスしないように呼びかけていました。

急激なオンライン化とサイバー犯罪の発生は密接に関係 不正は弱いところから

急激なオンライン化とサイバー犯罪の発生は密接に関係しています。

インターネットは、不正を行おうとする人にとって、地理的な制約を受けずに世界中を相手に活動できる場といえます。
そして、ネットワークに用いられる技術は専門的です。

今、対面の機会を減らさざるを得ない環境下で、個人も企業も学校なども、急遽オンラインのシステムを導入することになったものの、使いこなす技術が追い付いていないとも言われていますよね。
専門性が求められる分野に、もともと知識も経験も持たない人たちが参入しているわけです。
不正を行おうとする人にとっては、セキュリティのぜい弱さにつけこみ、情報を抜き取ったりお金を引き出そうとしたりする絶好の機会ともいえます。

私は、もともと機械全般に疎く、インターネットもろくに使いこなせていないため、オンラインシステムを利用していくのとあわせ、慣れていない者のすきをついて不正を行おうとする存在について勉強し、対策を講じていかなければならないと実感しています。

先日、公認不正検査士(CFE)という資格を取得するためにサイバー犯罪について勉強する機会があったのですが、その際、不正といってもさまざまで、たとえば、不正アクセスの手口でいうと、公的な機関や取引先をかたって接触し機密情報などを取得しようとするフィッシングというものがあったり、データ操作の手口でいうと、不正実行者が用意した不正なソフトウェアを仕込むマルウェアというものがあったりすることを学びました。

この例でいえば、マルウェアの感染源としてはどのようなものがあり、また、感染の兆候としてはどのような現象があり得るのか、そしてその被害を防ぐためにどのような対策が考えられるのか、このようなことをひとりひとりが自分ごととして勉強していくことでサイバー攻撃を防ぐ対策を講じる必要がありますよね。

サイバー犯罪というのは、自分とは関係のないどこか遠くの世界的な大企業で起きている現象のように感じているかたや、セキュリティについても職場のプロ任せというかたも多いのではないでしょうか。
まずは、不正を行おうとする相手がどのようなことを考え、どのような手口で近づいてくるのかということを意識するところからスタートしていく必要がありそうです。

冒頭で紹介した日本経済新聞社に関して発生した個人情報漏洩についても、今後、その漏洩した情報を悪用し、社員の名前などをかたってなりすましメールが増えるかもしれないこと、そのようなメールがあった場合の問い合わせ先についても報じられていました。

日々の報道でこのようなニュースをキャッチして、自分にも接触があるかもしれないと意識にとめることも大事かもしれません。

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