リーガルエッセイ

公開 2020.04.22 更新 2021.08.13

新型コロナウイルス感染拡大下での面会交流

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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新型コロナウイルスが親子の面会交流にも影響?

私は、離婚についてのご相談やご依頼を受けることも多いのですが、その中で、最近、子どもと離れてすんでいる親が子どもとの面会交流をどう実施していくか、という問題が生じているようです。

この問題は、とても難しいなと感じます。

子どもと住み、子どもを育てている親の立場からすると、

  • 「緊急事態宣言まで出て、外出の自粛が求められて、毎日、子どもに感染のリスクが生じないように自宅にこもって神経をとがらせて生活しているのだから、面会なんてさせられるわけがない」
  • 「幸い保育園が預かってくれるから、子どもを保育園に預けながら仕事をしてかろうじて生活しているのに、ここで面会して子どもが感染して保育園に行けなくなったら、生活していけない」

という考えになるかもしれません。

子どもと離れて住んでいる親の立場からすると、

  • 「この事態がいつ収束するかの見通しもついていないのに、ここで面会をあきらめたら、しばらく子どもに会うことができなくなるかもしれない」
  • 「この情勢で仕事のスケジュールが楽になって、今ならゆっくり子どもと会えそうなんだから、会わせてほしい」

という考えがあるかもしれません。

そして、当事者のかたというのは、いろいろな経緯があって離婚したご夫婦であったり、今なお離婚について話し合っている紛争中のご夫婦であり、それゆえにお互い割り切れないいろいろな感情を抱えていらっしゃることが多いために、この問題について、折り合う点を見つけることが少し難しくなっているように感じます。

子どもを育てている親の立場からすると、「子どものことじゃなくて自分のことばかり考えている!」とか「私は、ずっと家にいる子どもを支えて毎日本当に苦労しているのに、その苦労を想像できないから面会の話なんて持ち出せるんだ」とか思ってしまう気持ちがあるでしょう。

逆に、子どもと離れている立場からすると、「そもそも、子どもと離れて住みたくなかったのに離婚を強行されて親権まで取られたんだ」「こっちだって毎月ちゃんと養育費を払ってるじゃないか。面会を制限されるのはフェアじゃない」などという気持ちをもつかたもあるのではないでしょうか。

どちらが正しいということでなく、立場によって、こういう思いを持つのはもっともだと思います。
また、たぶん、それぞれ、お互いがお互いの立場だったらそう考えるだろうなということも当事者の方々も実はよくわかっていると思うのです。

面会の実施方法

面会交流は、言うまでもなく、子どものためのものです。
原則として、約束したとおり、実施していきたいところですよね。
一方で、この情勢下で、必ずしも、約束したとおりの頻度、方法で実施できるかというと、お住まいの地域によっては難しいことも事実だと思います。

なかなか難しいことだとは思うのですが、やはり、ここで話し合いをしておくことをお勧めします。
今、この情勢を見ると、今月だけ、という問題ではなさそうだからです。
このタイミングで、一度、この未曽有の事態を踏まえて、どうしたら安全に、子どものための面会を実現できるか、ということを考えてみるのがよいと思います。

お住まいの地域の感染拡大の状況やどのような行動が自粛されているかということなどにもよりますが、たとえば、会う場所を、お互いが公共交通機関を利用せずに会える屋外にして短時間だけマスクをして会うことができそうか?と考えてみたり、また、直接会うのは難しそうであれば、たとえば、テレビカメラやその他顔が見える機能を利用して通話をする方法を考えてみたり、直接会えない分、通話できる機会を少し増やすことを話し合ってみたり、ふだんは書かない手紙で文通してみたり。

会うか、会えないか、という解決でなく、選択肢を広げて、何ができるかと考えてみるのはいかがでしょうか。

「面会できないなら、養育費を払わない」は許される?

新型コロナウイルスに感染する危険があるのに、この情勢で面会などできないし、話し合いもしたくないと思っていたら、「理由はなんであろうと面会をさせないというなら、養育費も払わない」と言われてしまったらどうでしょう?
この言い分は認められてしまうのでしょうか?

このような話は、調停などの話し合いの場でもよく出てきます。
逆に、「養育費を払ってくれないなら、面会もさせない」などという話として出てくることもあります。

言うまでもなく、面会交流と養育費は、別の問題です。
面会交流ができないなら養育費を払わないという言い分は認められません。
ですので、もし、このようなことを言われたら、養育費は養育費としてきちんと支払いを求める必要があります。

とはいえ、法的には別問題といっても、関わる一方が、「別の話だってわかってはいるけど、あっちがちゃんとしてくれないのに、なんで自分ばかりが求められるんだ」という心情になってしまうと、うまくいきませんよね。

面会交流も養育費も、結局は子どものためのもの。
そして、どちらの親も、そのことをだれよりもわかっているからこそ、本当は子どもの立場に沿って対応したいのに、相手への感情がじゃまをして思うように対応できないというジレンマも抱えているのではないかと思うのです。

いろいろあって離婚に至ったり、まさに離婚の話し合いの最中だったりすると、お互いの立場や子どもを第一に考えて自分から歩み寄るとか、折り合う点を探す話し合いをするとか、言うのは簡単でも実際には難しいですよね。

弁護士は、もちろん、ご依頼頂いたかたの一番の味方として相手と話し合いをしますが、その際、お子さんの視点に立ったときにはどんな選択肢があり得るか、長期的な視野で考えると、相手にこういう提案をしてみるのもいいのではないか、など、ご当事者だとなかなか気づきにくい視点からさまざまな提案をさせて頂きます。

当事者同士でお話し合いができれば一番ではありますが、こじれてしまったり、そもそもどのような提案をしたらいいかもわからなかったりしてお悩みのかたは、ぜひお気軽に弁護士にご相談ください。
お子さんのためにもあなたのためにも一番いい解決法を一緒に考えていきましょう。

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