紀州のドン・ファンの元妻が殺人の疑いで逮捕された事件について

紀州のドン・ファンの元妻が殺人の疑いで逮捕された事件について

殺人罪で起訴されるか?

最近、コロナの感染拡大とオリンピックに関する話題が多かった報道番組ですが、先日、ある逮捕の一報があって以来、この話題も大きく報じられていますね。
3年前、紀州のドン・ファンと呼ばれた資産家男性が急性覚せい剤中毒で亡くなったことについて、妻だった女性が殺人の疑いをかけられて逮捕された件です。

思えば、男性が亡くなった当時から、男性が、この女性と結婚した3か月後に亡くなったことや警察が事件性を疑っているとうかがわれたことから、多くのメディアや週刊誌で疑惑が取りざたされていたと記憶しています。

そして逮捕された今、今度は、このことが、男性の莫大な遺産の相続関係にも影響が出る可能性があるとして、その観点からの報道も目にします。
相続人の立場にある人が、被相続人(相続される立場にある人)を殺害したとして起訴され、刑事裁判で有罪が確定したら相続人としての資格をはく奪されるという相続欠格(そうぞくけっかく)というルールの話です。

ただ、これは、あくまでも、女性について殺人罪の有罪が確定した場合の話。
しかも、今回は、報道によれば、それ以外にも、発見された遺言書の有効性が裁判で争われているとのことで、その結果によっても相続関係は影響を受けます。

今回は、今後、女性は殺人罪で起訴されるのか?裁判で有罪となるのか?について、現状を踏まえてお話ししてみたいと思います。

起訴されるのか?有罪となるのか?話してみたいと自ら言っておきながら矛盾したことを言うようですが、やっぱり、あまりつっこんだことをお話しすべきじゃないのだろうと個人的には思います。
この件、殺人罪で起訴されたら裁判員裁判になります。
プロの裁判官だけではなく、一般の方から選ばれた裁判員が有罪か無罪かを判断するんです。
もちろん、裁判員になるかたは、有罪か無罪かの判断をするルールとして、単に「あやしいな」というだけで有罪にはできないことや、事実を認定するときには、ちゃんと信用できる証拠によらなくてはならず、裁判外で見聞きした話やそこで出来上がった偏見に基づいて判断してはいけないことを頭において判断されるはずです。
それでも、判断するのは人間ですし、プロの裁判官と違って、普段から事実認定を仕事にしているわけではない、となれば、やはり法曹の資格を持って情報を発信する立場としては、裁判に不当な影響が及ぶことは断じてあってはいけないということまで考えて、責任を持った発信をするということを肝に銘じなければいけないと思うのです。

ですから、自分で問題提起しておきながら結局あまり具体的につっこんだ話をすべきではないと思っています。
ただ、少し事案を離れてお話ししてみると、やはり、立証のハードルは高いだろうなと思います。
一般論ですが、被疑者が自白していても、それだけで起訴することはできません。
さらに、被疑者が犯行を否認していたり、何も話さず黙秘していたら、被疑者の自白がない状態で、普通の人が見たときに『もしかしてこの人は犯人じゃないのではないか?』という疑いをさしはさまないくらい、十中八九犯人だといえる程度にまで証明できると検察官が判断して初めて起訴することになります。
殺人罪についていえば、被疑者が人を殺害している場面がカメラなどで撮影されていたとか、殺害している場面の目撃者がいるとか、そんな、被疑者の犯行を直接証明する証拠があれば、あとは、撮影された動画に編集の跡がないかを確認したり、ちゃんと撮影されているのか内容を吟味したり、目撃者の目撃状況に誤りがないか確認したりといった捜査をしていくことになるでしょう。
でも、そういう直接的な証拠がない場合は、周辺の間接的な証拠を地道に積み上げていく必要があります。
そもそも事件性があるといえるのか?
自殺の可能性は皆無なのか?

事件性があるとして、犯人が被疑者以外ありえないといえるのか?
これに関しては、被疑者には、犯行の動機があるのか?殺害の手段として違法薬物を用いていたのだとすれば、その薬物を入手した形跡があるのか?仮に入手の形跡があったとして、それが犯行に用いられたといえるための証拠があるのか?被疑者に犯行の機会はあったのか?事件後の言動は犯行と結びつくようなものだったのか?など様々な事実を証拠により明らかにしていく必要があるでしょう。
被疑者に犯行の機会があったのかということを検討するにあたっては、前提として、犯行がいつ行われたのかも特定する必要があり、その犯行時刻に、果たして被疑者は被害者を殺害することが可能な状態にあったのか?アリバイはないのか?などという点も明らかにしなくてはなりません。

報道を見ていると、どうやら夫婦仲がうまくいっていなかったようだとして疑惑を深めるかのように報じているものもある。
もちろん、動機のひとつとして考慮されうるかもしれない。
でも、もちろん、それだけでは単なる疑惑にとどまるのであり、証明の柱になどなりえません。
逮捕された女性がどうやら覚せい剤を入手していた形跡があるようだと報じているものもある。
でも、仮にそれが事実だったとして、だからといって、それが覚せい剤を使用して殺害行為に及んだ、といえるためには高いハードルがあります。
「自宅に置いておいたものを、しらぬまに被害者が口にしてしまったのかもしれない」などという弁解を排斥する必要があるからです。

今の時点ではこのあたりが限界。
いろいろ思うところはありますが、今後、少しずつ捜査状況が明らかになると予想されます。
もちろん、捜査状況の開示も慎重に行われるはず。
全容が解明されていないと思われる中で、捜査状況を下手に流してしまうことは、真相解明を遠ざけることになります。
今後の捜査に注目です。

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