リーガルエッセイ

公開 2021.03.18 更新 2021.07.18

詐欺の容疑で逮捕された元アイドルグループメンバーらの事件について

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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元アイドルグループメンバー 投資詐欺で逮捕

先日、元アイドルグループのメンバーがほかの男女3人とともに詐欺などの罪にあたる行為をしたとして逮捕されたと報じられました。
どのような行為があったとして詐欺にあたると評価されたのか?
報道によると、彼らには、バイナリーオプションという取引で高額な利益を得る方法があるようにうそをついて、その助言をするという名目で被害者から50万円をだまし取ったという疑いがかかっているとのこと。
もっとも、今回逮捕された事実以外にも余罪が多くあり、被害者は100人以上、被害総額は5800万円にも上るとも報じられています。

まだ報道だけからは事実関係はわかりません。
ですので、一般論で少し考えてみたいと思います。

投資詐欺のような事案は、犯行が行われている現場を現行犯で押さえるということでなく、まずは被害に遭ったかたが警察に相談することで警察に事件が認知され、その後、警察が被害を訴えるかたの話を聞いたり、その話を裏付けるお金の動きや被疑者らとのやりとりをメッセージの履歴で確認したりといった十分な裏付け捜査を経て、被疑者らの関与を認めるための証拠があると判断して初めて逮捕状の請求に至るということが考えられます。

報道によると被疑者らは詐欺容疑について否認しているとのこと。
被害を訴えているかたとの接点自体を否定しているのか、接点があることは認めつつ、相手に持ち掛けた話がうそだったという点を否定しているのか、それとも、一部の被疑者が、自身の関わり自体は認めつつ、自身の言動が全体として詐欺の一端を担うようなものだったことについて認識がなかったと供述しているのか、詳しいことはわかりません。
ただ、元アイドルグループのメンバーが、出会い系アプリを使って偽名で人を募っていたとの報道が事実であるなら、偽名を使ったということに、「なるほど、それはやむを得ないね」と納得するような理由がない限り、そのことは、このメンバーの関与や犯罪をしているという認識を推認させる事実として考慮される可能性はあるといえるでしょう。
どうしてかというと、もし、後ろめたいことがなければ、堂々と本名で人を集めればいいのに、わざわざ偽名を使うというのは本名がばれてはまずい事情があったからだろうという見方がされる可能性があるからです。

そもそも、ということでいうと、私も弁護士として詐欺などの被害を訴えて警察に告訴状を提出したり、被害届を提出して立件を求めたりする機会はあるのですが、警察がこれを受けて立件に乗り出してくれるためのハードルはなかなか高いという実態があります。
その一般論からすると、逮捕にまで至るということは、それなりの証拠があると判断してのものなのかなと想像します。
特に、今回は、同じような立場で50万円を振り込んだ人が多く存在している旨報じられており、とすれば、それらのかたから、それぞれ被疑者らとやりとりしたメッセージの提出を受けたり、話を聞いたりする過程で、いったい何が事実なのかということは自然に浮かび上がるのではないかと思えます。

いずれにしても、今後の捜査に関する報道に注目していきます。

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